推計震度について
推計震度は±1〜2程度の誤差を含む場合があります。
実際の観測値とは異なりますので、参考程度にご覧ください。
推計震度とは
推計震度とは、地震の震源情報(位置・深さ・マグニチュード)と地盤データをもとに、各地点での震度を計算によって推定したものです。
実際の観測値ではなく、あくまで参考値としてご覧ください。
本手法の位置づけ
本サイトで使用している経験的距離減衰式(GMPE: Ground Motion Prediction Equation)は、震源情報のみから震度を推定する手法であり、以下の公的機関・システムでも採用されている確立された手法です。
- 緊急地震速報(気象庁): 司・翠川(1999)式をベースに震度予測
- J-SHIS 地震ハザードステーション(防災科研): 確率論的地震動予測に森川・藤原(2013)式等を使用
- 地震調査研究推進本部: 長期評価・強震動予測に使用
なお、気象庁の「推計震度分布図」や防災科研の「J-RISQ」は、観測された震度データを空間的に内挿・補間する手法であり、本サイトのアプローチとは異なります。本サイトの手法は観測データがない歴史地震にも適用できる点が特徴です。
計算方法
推計震度は、以下の手順で算出しています。
なお、震源は点震源(一点)として計算しており、断層の広がりは考慮していません。
1. 距離減衰式
地震波の強さは、震源からの距離が離れるほど減衰します。この関係を表す「距離減衰式」を用いて、各地点での地震動の強さを計算しています。
本サイトでは、司・翠川(1999)による距離減衰式を使用しています。
2. 地盤増幅率
地震波は地盤の性質によって増幅されることがあります。軟弱な地盤では揺れが大きくなり、硬い地盤では揺れが小さくなる傾向があります。
本サイトでは、防災科学技術研究所が公開する「J-SHIS」の地盤データ(微地形区分)に基づく増幅率を適用しています。
元データは250mメッシュですが、本サイトでは2kmメッシュに集約して使用しています。
3. 震度への変換
計算された地震動の強さ(最大速度)を、気象庁震度階級に変換しています。
不確実性と限界
推計震度には以下のような不確実性があります。
距離減衰式の不確実性
距離減衰式は多くの地震データを統計的に処理して作られたモデルであり、個々の地震の特性や伝播経路の違いによって、実際の揺れは計算値から大きくずれることがあります。
地盤データの解像度
元データの250mメッシュを2kmメッシュに集約しているため、局所的な地盤の違い(埋立地、谷底平野、盛土など)は十分に反映されていません。
歴史地震の震源情報
歴史地震では、震源の位置・深さ・マグニチュードの推定値自体に大きな誤差が含まれます。古い地震ほど不確実性が高く、推計震度と実際の被害記録が一致しない場合があります。
断層の広がり
本サイトでは点震源(一点)として計算しており、断層の破壊過程や震源の広がり(断層長さ・方向)は考慮していません。大地震では断層の広がりが揺れの分布に大きく影響するため、実際の揺れとの乖離が生じやすくなります。
推計震度はあくまでも参考値です。
「観測網がなかった時代に、もし現代の震度計があればこの程度の揺れが記録されたかもしれない」という目安です。あくまでも参考情報としてご覧ください。
参考文献
- 地震調査研究推進本部「全国を概観した地震動予測地図」https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/
- 司 宏俊・翠川 三郎(1999)「断層タイプ及び地盤条件を考慮した最大加速度・最大速度の距離減衰式」日本建築学会構造系論文集, 523, 63-70.
- 防災科学技術研究所「J-SHIS 地震ハザードステーション」https://www.j-shis.bosai.go.jp/
- 若松加寿江・松岡昌志(2013)「全国統一基準による地形・地盤分類250mメッシュマップの構築とその利用」地震工学会誌 No.18, pp.35-38.
- Wakamatsu, K. and Matsuoka, M. (2013): "Nationwide 7.5-Arc-Second Japan Engineering Geomorphologic Classification Map and Vs30 Zoning", Journal of Disaster Research Vol.8 No.5, pp.904-911.
- 松岡昌志・若松加寿江(2008)「地形・地盤分類250mメッシュマップ全国版に基づく地盤のゆれやすさデータ」産業技術総合研究所,知的財産管理番号 H20PRO-936.
- 藤本一雄・翠川三郎(2006)「近接観測点ペアの強震観測記録に基づく地盤増幅度と地盤の平均S波速度の関係」日本地震工学会論文集, Vol.6, No.1, pp.11-22.